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認知症で銀行口座凍結?

銀行OBということで融資や資産運用のご質問ご相談をよく頂きますが、一番多いご質問は実は地味ながら大変重要な、金融機関の事務手続きに関することです。

面倒になってしまう一番の原因はいったい何でしょう?

手続き書類イメージ

滅多にしない手続きの多くが、滅多に使うことのない公的なエビデンスの提出を要求されること。このおかげで、手続きを進めるには、役所に出かけて行く必要があります。

いろいろな手続きの中で、特に相続は相続人や遺言書に記載された方々の様々な書類が必要です。 折角揃えても不十分な場合もあり、場合によっては遠方の役所に郵送で請求が必要になり、その請求にもさらに公的書類が必要になるという気の遠くなるような作業になります。こうなるともう、みなさんうんざりです。

私はかつて相続人の人数が14名の案件のお手伝いさせて頂いた経験があります。

25年以上前のことにも関わらず今でも覚えています。ただでさえ手間のかかる手続きなのに、必要書類は、案件や金融機関によって変わることも多いので、もういい加減にして!となってしまうかと思いました。

最近、大手金融機関では相続を扱うスタッフのいる本部の専門部署が対応して、支店の事務負担軽減とお客様への対応の向上を図っており、お客様側も司法書士や行政書士などが有料で代行するサービスも出てきています。

ところで、最近2日の間に立て続けにご質問頂いたのが、「認知症になるとその方の銀行口座は凍結されてしまうのか?」というものでした。

質問された方のおひとりは「ネットで記事をご覧になられた」というので拝見しましたところ、その記事の元になった介護経験を綴った本の中で、「認知症になると銀行口座は凍結されてしまうらしい」という文章を、「らしい」を外してタイトルにしているようでした。

認知症になったからと言って、銀行がそのお客様の口座を凍結(=正確には支払い停止)、とすることはありません。

そもそもお客様が認知症かどうか銀行は確認する方法はなく、知ったとしても預金の入出金は日常生活行為であり、後見人ですら取り消しの出来ない行為を第三者の銀行は制限出来ません。

この件、恐らく

●キャッシュカードの暗証番号を何度も間違えて本人以外に使われたと自動的にコンピューターが判断し、支払い停止がかかってしまった

あるいは

定期預金などの解約手続きの際に本人が伝票を書けなかった = 解約できなかった(だけなのに) = 凍結

と誤解されたものだと思います。

まあ動かせないのは凍結と同じですが、銀行が勝手に止めているわけではないので誤解のなきようお願いいたします。

さて対策、ですが、ごく簡単に金融資産の手続き面にだけ限って言えば、

①(失礼ながら)高齢の親を持つ子供は親の預けている金融機関を把握し、出来れば代理人届を提出して代わりに取引できるようにしておく(ただし本人が亡くなった場合は代理権も無くなります)。あるいは任意後見制度を利用する。

②認知症の症状が出ているのであれば、成年後見制度を利用する。

いずれにしてもご家族でよく話し合い、面倒がらずに対策しておいた方が後々のためです。

さて、私も母親の分をやっておかなくては。えーと銀行どこ?証券会社もあるの。ん?これ、他界した親父の分?どうなってるの?うわぁ大変だ!。

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