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「住宅ローンを借りると金利がもらえる」?

「住宅ローンを借りると金利がもらえる」というまさかと思うような話が、デンマークでは起こっています。そんな事をしたら、銀行は損をするはずですが、そこにはからくりが。元銀行マンの城戸FPが解説します。

まだまだ“暑いと思っていたらいつの間にか秋の声を聴くようになりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。9月はやたらと忙しく、初めてこのレターをスキップしてしまいました。

■“借りているのにもらえる”のからくり

さて、「住宅ローンを借りると金利がもらえる?」

などと、まさかのようなタイトルをつけましたが、指標となる国債の金利がマイナス、つまりお金を借りると借り賃が貰えるデンマークで実際に行われているれっきとした事実です。と、言っても確かに“金利”の支払いはないのですが、どうやら手数料などの名目で支払いがあり、それが毎月の利息に代わるものになるようです。状況によっては損失の可能性もあるとしていましたから、金利が上がれば=元のプラスの金利に戻れば返済金額も大きく増えると思われます。

当該行のホームページにも詳しい記載はなかったのですが、後日の新聞によれば申し込みが殺到しているようです。

銀行イメージ

■銀行のもうけの仕組み

この銀行は先月預金残高750万デンマーククローネを超える口座を対象に年0.6%の口座管理手数料を徴収すると発表しました。今の為替レートで円換算すると約1億1千8百万円の残高で約71万円の手数料になります。以前ご紹介したスイスなどのプライベートバンクには元々同様の手数料がありますが、あちらは諸々のサービスを受けるためのものです。他の国でも一定の預金残高がなければ“口座維持”の名目で手数料を課金するのが普通です。こちらは(信じられないと思いますが)他行への預け替えを狙ったもので、預金があると困るので他の銀行に預けて下さいということです。銀行としては上記の住宅ローンのようにお金を“貸す”と金利を“支払う”ことや、そうでなくとも非常に低い金利しか儲けることが出来なければ一般企業でいうところの“仕入れ”に相当する預金は必要なく、今の日本の銀行も本音を言えば是非導入したい手数料のはずです。

現在の日本でも金利の指標とされている銀行間で資金の貸し借りを行うコール市場と呼ばれるところの取引金利が(無担保コール翌日物金利)はマイナス金利で、資金の出し手の銀行は取り手の銀行に金利を支払っています。(現状は平均―0.02%程度)住宅ローン金利は史上最低水準ですがマイナスではありません。

1611年から21年の間ジェノバ(今のイタリア)で指標となっていた国債の金利が2%を割ったのが歴史上の最低水準で、19年に1.125%になったのがこれまでの歴史上の最低金利だそうです。今後の家計に与える影響は全く未知数ですが、今のマイナス金利は経済史上初めての“実験中”ということは頭の片隅にでも入れておいて損はないと思います。

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